マーケターとAIの役割分担を考える

近年AIの進化はすさまじく、私も毎日のようにAIを使って仕事をしています。AIはめちゃくちゃ便利で仕事を変えている一方
「マーケターの仕事はAIに奪われてしまうのではないか」
という恐怖も感じます。しかし私がこれまでAIを使ってきた感想としては、AIを正しく使えば、マーケターの仕事は奪われるどころか、これまでにないスピードと精度で成果を出せるようになります。そのために絶対に知っておくべきなのが、AIと人間の正しい役割分担、そしてAIの出力を変える一次情報の重要性です。
本記事では、AIとマーケターの役割分担を考えてみます。AIを使いこなしたいマーケターの方は、ぜひ本講座を参考にしてみてください。
AIの得意・不得意を知る
AIと人間の役割分担を考える第一歩として、AIの得意・不得意を把握してみます。以下の表で整理しましょう。
| AIの得意なこと(任せるべき領域) | AIの苦手なこと(人間が補う領域) |
| 広範な情報収集 インターネット上の情報を幅広く集める | インターネット上にない一次情報の取得 自社のアクセスログ、商談の録画、顧客の生の声など、非公開データへのアクセス |
| 情報の要約・構造化 大量のテキストデータを瞬時に整理する | 一次情報から人間の深層心理の把握する 「機能より営業担当の人柄で選ぶ」「導入事例が多ければ安心」などの感情の理解 |
| たたき台(ドラフト)の作成 情報をもとに資料の骨子や企画案を作る | 最終的な意思決定と責任 状況に応じた正解のない決断を下すこと |
情報収集や要約、資料の骨子作成などを形にするのはAIの最も得意な領域です。一方で最終的な意思決定をくだすのは人間です。そして人間はこの意思決定をくだすとき、論理だけでなく感情の要素がまじってきます。
「機能が優れているのはA社だけど、営業マンの人柄もいいB社のシステムを導入しよう」
「導入事例が多いからC社の商品は安心だよね」
こうした深層心理はAIには把握できません。なぜならこのような深層心理はネット上には出てこず、商談やインタビューなどで直接聞き出す必要があるからです。
これを踏まえるとインターネット上にはない一次情報を取得し、そこから深層心理を把握することは人間の役割ということになります。そしてAIが取得してきた広範な情報と組み合わせることで、マーケティングの精度がより高まっていきます。
マーケターとAIの役割分担
AIの得意・不得意を踏まえると、マーケターが取るべき理想のワークフローが見えてきます。私の場合以下のような役割分担を意識しています。
- 【人間】 ネットにはない自社独自の一次情報を集める
- 【AI】 インターネット上の一般情報を集めてまとめる
- 【AI】 一般情報と一次情報を統合し、企画や施策のたたき台を作る
- 【人間】 たたき台をもとに、最終的な実行案を決定し、施策を実行する
- 【AI】 実行した結果のデータ(数値)を分析する
- 【人間】 分析結果と現場の肌感覚をもとに、次の一手を決める
つまり、これからのマーケターに求められるのは
- 一次情報をいかに集めるか
- AIの意見をどう取捨選択するか
- 施策を実行すること
の3点に尽きます。特に一次情報の収集と、AIの意見の取捨選択については、マーケティングのスキル・知識・経験が求められることが多いです。だからこそAIとマーケターはうまく役割分担をして、共存共栄していく必要があります。
一次情報を集める体制づくり
どんなに優秀なAIでも、前提条件や背景(コンテキスト)を与えなければ、誰にでも言える一般論しか出力しません。AIに自社のGA4データや顧客の商談ログといった一次情報を渡すことで、回答の精度が上がります。
- 商談記録はすべてテキストにまとめておく
- GA4・Clarityなどのデータはいつでもエクスポートできる状態にしておく
- セミナー資料・会議資料などをまとめておく
基本的なことではありますが、日々の一次情報を取得しておくことが、AIを最大限活用するカギになります。その体制を作っておくことで、AIをスムーズに使いこなせるようになります。
一次情報の取得方法については『マーケティングの鍵は「一次情報」にあり!Google MeetとAIで日々のMTGを資産に変える方法』の記事にもまとめています。よろしければこちらの記事も合わせてご覧ください。

AIの意見を取捨選択するスキルを身につける
AIが生成するたたき台は非常に便利ですが、そのまま使える完成品であることは稀です。ここでこれからのマーケターに強く求められるのが、AIの出力を評価し、最適な要素だけをピックアップするスキルです。
AIの意見を取捨選択し、実務レベルに引き上げる際は、以下の4つのフィルターを通すことを習慣化しましょう。
- ファクトチェックによる裏付け:AIは時に、もっともらしい嘘(ハルシネーション)を出力することがあります。提示されたデータ、トレンド、固有名詞が本当に正しいか、必ず人間の目で一次ソースの裏付けを取りましょう。
- 自社らしさとの整合性:AIの文章や提案は、そのままでは当たり障りのない優等生的な表現になりがちです。自社のブランドトーンに合っているか、顧客が違和感を抱かないかをジャッジし、自社ならではのニュアンスをトッピングする必要があります。
- 顧客の感情が動くかどうかの見極め:論理的に完璧な提案でも、人の心を動かすとは限りません。「このメッセージで本当にターゲットの感情は揺さぶられるか?」という非合理的な視点は、感情を持たないAIには決して判断できない重要な評価基準です。
- 実現可能性とリソースの判断:AIは時として、予算や人員の制限を無視した理想論を提案してきます。現在の自社のリソースで実行可能か、現場のメンバーは動いてくれるかというリアルなビジネス視点で、提案をシビアに削ぎ落とす必要があります。
このようにまとめると簡単に思えますが、これらを正しく実行するためにはスキル・経験ともに高いレベルが求められます。「現在の自社のリソースで実行可能か、現場のメンバーは動いてくれるか」という判断1つにしても
- それぞれの施策にどれだけのリソースがかかるか
- それぞれの施策に見込める成果
- 自社のヒト・モノ・カネ・情報のリソース把握
- 現場メンバーへの伝達力
- プロジェクト全体のマネジメント力
など多岐にわたるスキルが求められます。そのためAIによって単純作業が楽になった一方、より高次元なスキルが求められるようになったというのが私の実感です。AIが出現したからこそ、より自分自身に磨きをかけることは忘れずに実行していきたいと思っています。
AIとうまく役割分担する体制を作る
AIがどれだけ進化しても、一次情報を集めること、最終的な決断と実行は人間にしかできません。
現場の生の声やデータを誰よりも知っているマーケターこそが、AIを強力な相棒として使いこなし、圧倒的な成果を生み出すことができます。まずは日々の業務で一次情報を残す・蓄積することから始めてみましょう。
トビラマーケティングでは、主にGoogle WorkspaceにあるGemini・NotebookLMを日々活用しています。Udemyにて活用法の講座もリリースしていますので、よろしければこちらの講座もご覧ください

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