【BtoB企業のマーケティング戦略立案手順】実践的なマーケティング施策も解説

「BtoB企業のマーケティング戦略ってどうやって立てればいいかわからない」
「そもそも戦略を立てずにスタートしてしまい、行き当たりばったりになってしまっている」
BtoB企業から相談をいただく際、そのようなお声をたくさんいただきます。BtoB企業のマーケティングはさまざまな要素が絡み合っており、戦略を立てておかないと、なかなか成果に結びつきません。本記事ではBtoB企業のマーケティング支援をするトビラマーケティングの伊藤が、実際にどのようにマーケティング戦略を立てているか解説していきます。
BtoB企業でマーケティングに携わっている方は、ぜひ参考にしてください。
3C分析で市場の勝ち筋を見つける
マーケティング戦略を立てる目的は、市場での勝ち筋を見つけることです
- 顧客は何を求めているか
- どのような訴求で商品を販売するか
- どのチャネルで商品をプロモーションするか
- 競合との違いは何か
これらを整理して市場に打ち出すことで、市場でのシェアを獲得していきます。
そして市場での勝ち筋を見つけるために使うのが、3C分析というフレームワークです。マーケティングの世界では昔から使われている3C分析ですが、非常に強力で今でもよく使います。
顧客(Customer)・競合(Competitor)・自社(Company)の3つの視点から事業環境を分析し、最終的に自社が市場で成功するための要因・ポジショニングを確立します。ここからは具体的に3C分析を実施する方法を解説していきます。
顧客分析(ペルソナ・カスタマージャーニー)
3C分析の中で真っ先に実施すべきなのが、顧客分析です。顧客のニーズがわからないまま競合や自社を分析しても、顧客に届くような訴求はできません。顧客分析を実施するためには、以下のようなことを実施していきます。
- 顧客インタビュー(既存顧客、新規顧客、離反顧客)
- 展示会などで新規顧客と会話する
- 営業に同行して顧客に会う
顧客インタビューのような場を設定することも大切ですが、展示会や営業同行などで直接顧客と会う機会も積極的に作りましょう。マーケターの中には直接顧客と会わない方もいらっしゃいますが、個人的には顧客とどれだけ出会ったかで質のいいマーケティング戦略が作れるかどうかが決まると思っています。なので展示会や営業同行などは積極的に実施し、顧客との会話を重ねていきましょう。
顧客との会話を重ねていくと「この顧客は自社にとって理想的だな」という顧客に出会います。その理想的な顧客の要素を具体化し、ペルソナ・カスタマージャーニーに落とし込んでいきます。ペルソナ・カスタマージャーニーを作ることでいつでも理想の顧客を確認できますし、チームメンバーへの情報共有も楽になります。

- どのような課題・悩みを抱えているのか
- なぜ課題・悩みが発生しているのか
- 課題・悩みが解決したとき、どのような未来が待っているのか
- 課題・悩みを解決するための予算・リソースはどのくらいあるのか
こうした項目をリストアップして、ペルソナとしてまとめます。

そして課題・悩みを解決するためどのような行動をしているのかをカスタマージャーニーマップにまとめていきます。カスタマージャーニーマップではそれぞれの段階での感情・タッチポイントを可視化し、どのような訴求でどのチャネルに発信していくかを見つけていきます。
このように顧客のニーズ・課題・行動を可視化できれば、顧客にどうアプローチしていくべきかが明確になっていきます。そのためまずは顧客分析を実施し、顧客像を明確化していきます。
競合分析
顧客分析の次は、競合分析を実施していきます。競合分析ではマーケティングの主要素である4P(製品・価格・流通・販促)の視点で競合を分析し、競合がどのようにマーケティング戦略を立てているか調査します。

競合分析を実施すると、以下のようなことが見えてきます。
- 競合が顧客に対してどのような訴求をしているか
- 競合が商品を流通させている場所、販促しているチャネル・プロモーションは何か
競合の戦略がわかれば、競合が実施していない訴求やプロモーションがわかります。つまり市場の空白地帯がわかるということですね。空白地帯をうまく攻めることができれば、自社のマーケティング戦略が成功する確率が高くなります。
自社分析
顧客分析・競合分析が終了したら、最後に自社分析を実施します。自社分析は競合分析と同じように、自社の4Pを分析していきます。

自社の製品(Product)・価格(Price)・流通(Place)・宣伝(Promotion)の現状と課題を分析し、戦略を考えていきます。4Pを見直してみると普段は気づけない課題に気づき、改めて戦略を考えられます。
バリュープロポジションの確立
3C分析が終了したら、その結果をまとめバリュープロポジションを確立します。バリュープロポジションとは「自社が提供できて、競合他社が提供できない、顧客が求める独自の価値を表したもの」です。

- 顧客が望んでいる価値(顧客分析)
- 競合が提供していない価値(競合分析)
- 自社が提供する価値(自社分析)
これまで実施してきた3C分析をまとめると、バリュープロポジションが確立できます。このバリュープロポジションこそが、市場での勝ち筋になり得るものです。マーケティング戦略を立てる上での一旦のゴールとして、バリュープロポジションの確立を目指しましょう。
スモールスタートでマーケティング戦略を実践してみる
ここまでBtoB企業のマーケティング戦略を考え、バリュープロポジションを確立させました。しかしマーケティング戦略を立ててみて実践してみると、まったく反応がないことはよくあります。
- 訴求が顧客にとって理解しにくかった
- 新しいチャネルに挑戦したが顧客がまったく見ていなかった
- 潜在的な顧客に興味を持ってもらったが、契約まで時間がかかる
マーケティング戦略がすべて正しいとして多額の投資をしてしまうと、失敗してしまった時に取り返しがつきません。そのため私のおすすめは、スモールスタートで実践してみることです。スモールスタートで顧客の反応を見て、顧客への反響がよければ予算を増やす、反響が悪ければ別の手法を試す。これを繰り返すことで、より現実的な勝ち筋を見つけていきます。
ここからは私がBtoB企業のマーケティング戦略をスモールスタートするのであれば、何から始めるのかいくつか事例を紹介していきます。
スモールスタート事例:LP+リスティング広告
オンラインでの集客が見込める場合、LPを制作してリスティング広告を出稿する方法が、スモールスタートとしては適切です。リスティング広告は検索キーワードに対して出稿するので、実際に検索しているユーザー(課題を抱えているユーザー)と出会えます。
この事例の場合費用は、LP制作で30万円、広告費で10万円×3カ月の合計60万円ほどが目安になります。3カ月リスティング広告を運用してみて反響があれば、広告費は簡単に増やせます。またアクセス解析のデータを見ながらLPを改善することで、予算も効率よく使えるようになります。
検索キーワードの検索ボリュームが多い、オンラインでの集客を増やしたい場合、LP+リスティング広告でのスモールスタートがおすすめです。
スモールスタート事例:展示会の1コマ出展
一方検索キーワードがない、オフラインでの集客がメインの場合、展示会の1コマ出展がおすすめです。展示会はさまざまな人が来場するので、顧客の声が直接聞ける場所でもあります。スモールスタートなので、1コマ出展から始めてみるといいでしょう。
この事例の場合の費用は、出展料30~50万円、展示物(チラシ・パンフレット・タペストリーなど)10~30万円の合計40~80万円ほどが目安になります。スモールスタートなのでタペストリーをいくつか制作し、配布用のチラシ・パンフレットを作成するだけでも形にはなります。そして来場者にチラシを配ってみる、タペストリーを見て立ち止まってくれる人に声をかけるなどして、マーケティング戦略の反応を探っていきます。
展示会はBtoB企業のマーケティング施策の中で、今でも重要なチャネルです。オンラインでの集客が難しい場合重要なチャネルになるので、ぜひ挑戦してみてください。
スモールスタート事例:資料ダウンロードサイト
スモールスタート事例として知っておきたいのが、資料ダウンロードサイトです。製造業向けの製品であれば『イプロス』、SaaSなどのITサービスであれば『アスピック』など、製品を比較して資料をダウンロードできるサイトがあります。資料ダウンロードサイトはSEOや広告に力を入れており「〇〇 比較」など、比較検討しているユーザーに製品をアピールできます。
この事例の場合の費用はサイトによって異なりますが、初期費用はかからず資料ダウンロードごとに成果報酬(1万円ほど)で支払うというケースが多いです。初期費用なしで始められるので、他の施策と並行して進めることもできます。
導入数が少なくても他社製品と並べて紹介してもらえるので、初期段階では取り組んでおきたい施策の1つです。
BtoB企業がマーケティング戦略を実施する際の5つのポイント
ここまでBtoB企業がマーケティング戦略をどのように立てて、実行すべきか解説してきました。しかしいざ戦略を立てて実践してみても、うまくいかないことはたくさん出てきます。その際担当者はどのような心がけをすればいいのか、5つのポイントにまとめて解説してきます。
施策を1回であきらめない
マーケティング施策を実行する上で、いきなり最高のものができることはまずありません。今最高のマーケティング施策を実行している企業でも、その前段ではかなりの試行錯誤を重ねています。そのため施策を1回やって駄目だったから、すぐにあきらめることはやめましょう。
例えば広告運用であれば、少なくとも月10万×3カ月の期間は試行錯誤を繰り返したいです。オンラインの施策はデータが集まりやすいので、データを見ながら小さな改善を積み重ねていきます。そしてその積み重ねによって、費用対効果がだんだんよくなっていきます。日々コツコツデータを見ながら改善を積み重ねることが、成果につながっていきます。
リードナーチャリングも実践していく
Dreamdata社の調査によると、BtoBマーケティングにおいて、初回接点から受注までは192日かかるというデータがあります。(※)BtoB企業のマーケティング担当者としては、日本の企業でもこのくらいの期間がかかると言われても違和感がありません。
例えば展示会で接触後セールスしてダメでも、後日検討を始めるといったこともざらにあります。そして後日検討を始める段階では展示会のことを忘れ、また新たに情報収集を始めます。この再度検討を始めるタイミングで、最初の選択肢に入れてもらうためには、リードナーチャリングの実践が必要です。
メルマガなどで定期的に情報を発信し、会社名・サービスを覚えてもらえれば、真剣に検討するフェーズで最初の選択肢に入れてもらえる可能性が高くなります。そして最初の選択肢に入ることは、受注率を大幅に高めます。すぐ契約に至らなかった顧客でも、リードナーチャリングを実践することで、長期的な売り上げにつながっていきます。
※出典:New data: Testing the B2B Marketing time lag
確実に勝てるポイントを見つける
BtoB企業のマーケティングは、確実に勝てるポイントを見つけることで、受注が安定しやすくなります。確実に勝てるポイントは訴求内容でもいいですし、集客用チャネルでもいいです。そのポイントでナンバーワンになれれば、競合他社が追随しにくくなります。
例えば私が支援したFDWORK社では、「補助金採択率100%」という訴求内容を決め、LPや広告で訴求したところ、成約数が5倍になりました。これは他社が追随できない訴求なので、継続して広告から受注を続けています。他にはSNS・YouTubeなど他社が力を入れていないチャネルで、実は顧客が見ていたというポイントを見つけて売上を伸ばしたという企業もあります。
そしてこのようなポイントを複数見つけられれば、かなり理想とする形が作れます。いくつも施策を展開していると、この施策はいけそうという感覚がわかってきますので、ぜひこのポイントを見つけていってください。

施策の幅を広げていく
確実に勝てるポイントを見つけるためには、施策の幅を広げる必要があります。顧客分析で顧客とのタッチポイントを見つけ、その中から効果のありそうなものからスモールスタートしていきます。
1つの施策を試行錯誤していくと次第に改善がみられていくので、半年くらいすると今後の予測も立てやすくなっていきます。中には確実に勝てる施策が見つかるかもしれません。そこで満足するのではなく、余裕が出てきたら施策の幅を広げていくことが重要です。
施策の幅が広がると「展示会でも、比較サイトでも、SNSでもA社を見るな。じゃあA社と契約するのが1番いいんじゃないか」と顧客は考えます。そう考えてもらえれば、かなり勝ちパターンに持ち込めます。BtoB企業のマーケティングでは接触頻度や回数が重要なので、余裕が出てきたら施策の幅を広げていきましょう。
バリュープロポジションは定期的に見直す
3C分析を経てバリュープロポジションを確立できたら、マーケティング施策を実行していきます。そしてある程度期間が経ったら、バリュープロポジションを見直してみましょう。近年市場環境の変化がはげしく、新たなニーズもたくさん生まれていきます。一度作ったバリュープロポジションが、一年後には使えなくなっていたなんてこともよくあります。
例えば年に1回期間を決めて合宿をして、バリュープロポジションを見直すのもいいでしょう。市場環境・競合他社の変化に応じて、柔軟に立ち回ってくことが、BtoB企業のマーケティングでは大切です。
BtoB企業のマーケティング戦略相談はトビラマーケティングへ
ここまでBtoB企業のマーケティング戦略の立て方から、実行まで解説してきました。BtoB企業のマーケティング活動はさまざまな能力が必要で、自社だけでまかなうのはとても難易度が高いです。だからこそ優秀なパートナーが必要です。
トビラマーケティングはBtoB企業のマーケティング責任者代行、コンサルティングを実施しています。1つの施策にこだわることなく、お客様にとって最適な提案をさせていただきます。
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そんな方はぜひお気軽にお問い合わせください。無料相談を実施させていただきます。
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