自社に合ったBtoBマーケティング施策を選ぶための「3つのチェックリスト」

みなさんこんにちは。トビラマーケティングの伊藤です。普段はBtoB企業のマーケティング支援をしております。
「リスティング広告、SEO、SNS、展示会… たくさんあるBtoBマーケティング施策の中から、自社にとって最適なものを選び、限られたリソースの中で優先順位をつけて実行したい」――これは、私が支援する企業のマーケティング担当者様から最も多くいただくお悩みです。
BtoBマーケティング施策は20以上ありますが、闇雲にすべてを試すのは非現実的です。成果の出ない施策に予算と労力を費やしてしまうと、戦略がないか実行力が不足していることが原因で失敗に繋がります。
トビラマーケティングでは、施策を選定し実行する前に、「どこで戦うか」(戦略)を決定することが重要だと考えます。本記事では、貴社が「自社に最適なBtoBマーケティング施策を選んで実行できる」ように、施策選定のための「3つのチェックリスト」と、実行の優先順位を解説します。

マーケティング施策選定の前提:最初に整える「5つの土台」
BtoBマーケティングの施策は、あくまでマーケティング戦略の一部に過ぎません。どのような施策を実施するにしても、Webサイトが必ず見られます。そのためお客さんがWebサイトを訪れたとき、問い合わせにつなげてくれるための準備が必要です。
すべての施策の効果を最大化するために、まずマストで実行すべき5つの施策があります。
| No. | 施策 | 目的 |
|---|---|---|
| ① | Webサイト改善 | お客様のニーズや競合との違いを打ち出し、CVまでの導線をわかりやすくする |
| ② | 導入事例作成 | BtoBマーケティングのキラーコンテンツであり、CV率や社内稟議の通過率に大きく関わる。 お客様の取引前の課題や導入後の効果をヒアリングして作成する。 |
| ③ | 指名検索対策 | 会社名・サービス名で検索された際に、関連キーワード(「〇〇 料金」など)に対応するページを作り、ユーザーを逃さない。 |
| ④ | メルマガ | 顧客育成(ナーチャリング)の第一歩。BtoBではリード獲得から契約まで半年〜1年以上かかることも多いため、見込み客の認知を高め続ける必要がある。 |
| ⑤ | 会社案内資料・ホワイトペーパー | 顧客ナーチャリングとCVポイントの最適化。特に購入層の顧客は稟議に会社案内資料を使うこともあり、デザインや構成に予算をかけても良い。機能ではなく顧客の悩みを提示することで、必要性を感じてもらう構成が望ましい。 |
この「5つの土台」をすべてやりきれている企業は、あまり多くありません。まずはこの土台をしっかりと作り、サイトに来たお客さんを逃さないことが重要です。
チェックリスト 1:市場と競合を分析する
マーケティング施策を決定する際は、まず「市場」(ターゲットの広さ、認知度)と「競合」の状況を分析します。
ターゲットの広さと認知度の確認
まずは市場の視点から適切なマーケティング施策の選び方を解説します。重要なのはカテゴリー認知度とターゲットの日と差です。
カテゴリー認知度:「会計ソフト」「エンジンバルブ」のように製品カテゴリー名が市場に認知されている(検索ボリュームが多い)かどうか。市場に認知されていれば、SEO・リスティング広告など検索系の施策が有効になる
ターゲットの広さ:「会計ソフト」「チャットツール」のように企業の規模・業種を問わない製品は、ターゲットが広い。ターゲットが狭い製品は、特定のターゲットがいる場所に出向く必要がある
認知度とターゲットの広さによる適切な施策は以下の通りです。
| 状況 | 推奨される施策の方向性 | 主なマーケティング施策例 |
|---|---|---|
| 認知度が高い × ターゲットが広い | 広範囲にリーチできる施策が有効 | オウンドメディア、リスティング広告、Meta広告、自社セミナー、共催セミナー、比較サイト、YouTubeなど |
| 認知度が高い × ターゲットが狭い | 検索+ニッチなニーズにも対応する | オウンドメディア、リスティング広告、自社セミナー、比較サイト、YouTube、代理店、専門メディアなど |
| 認知度が低い × ターゲットが広い | 人が多く集まる場所でニーズ喚起を実施 | 展示会、Meta広告、自社セミナー、X、note、プレスリリース、書籍出版、オフライン施策など |
| 認知度が低い × ターゲットが狭い | ピンポイントで狙う施策 | 展示会、Meta広告、自社セミナー、Facebook、LinkedIn、note、CXOレター、オフライン施策など |
競合に勝てる「軸ずらし戦略」の検討
有効な施策は競合がすでに始めていることが多いです。強力な競合がいるチャネル(例:WebマーケティングコンサルのSEO/広告)で真正面から勝負しても勝つ可能性は低い。
そこで重要になるのが、「軸をずらす」ポジショニング戦略です。
- 軸をずらす例: 「BtoBマーケティング コンサル」で1位が取れなくても、「BtoBマーケティング 名古屋」であれば1位を取れる可能性がある。
- チェックポイント:
- お客様に露出できる場所に立てそうか。
- 軸をずらして戦えそうか(競合が少ないセグメントか)。
チェックリスト 2:顧客の購買ステージから「優先度」を決定する
BtoBマーケティングでは、顧客が現在どの購買ステージ(ファネル)にいるかに応じて、最適な施策を選びます。
購買ファネルのどこを攻めるか
効率的に成果を出すためには、購買意欲が高いファネルの下層(購入層)から攻めるのが王道です。

| 顧客層(ニーズ) | CVへの距離 | 施策例 |
|---|---|---|
| 購入層(比較・検討) | 最も近い | リスティング広告、比較サイト、自社セミナー、展示会など |
| 顕在層(解決策を探している) | 近い | オウンドメディア、セミナー、CXOレター、比較サイトなど |
| 準顕在層(悩みはあるが行動していない) | 遠い | 展示会、Meta広告、オウンドメディア、セミナーなど |
| 潜在層(認知) | 最も遠い | 展示会、X、note、書籍出版、アーンドメディアなど |
購買層に合わせたCVポイントの最適化
実施する施策によって集まる顧客層が異なるため、CVポイントのハードルを調整します。
- 顕在層~購入層がメインの場合: CVポイントをホワイトペーパーや資料請求などのハードルが低いものにすると、逆に手間になる可能性があります。お問い合わせやデモなど、早く商談に持ち込む方が良い。
- 準顕在層がメインの場合: CVポイントが「お問い合わせ」のみだとCV率は低くなります。この場合は、ホワイトペーパーのダウンロードやメルマガ登録といったハードルの低いCVポイントを設定し、ナーチャリングにつなげるのが適切です。
チェックリスト 3:社内事情と実行の現実性を担保する
リソース(予算と人的リソース)は、施策選定の現実的な制約です。
リソースと予算に応じた施策の選択
施策は、リーチできる顧客層、予算、人的リソースによって評価し、組み合わせる必要があります。例えば以下のように予算・人的リソースなどを比較します。
| 施策 | 顧客層 | 予算(目安) | 人的リソース(目安) |
|---|---|---|---|
| 展示会 | 潜在層~購入層(幅広い) | 1回あたり50万円以上 | 数日間3名以上拘束(準備も必要) |
| オウンドメディア | 準顕在層~顕在層 | 運用次第 | 運用次第 |
| リスティング広告 | 顕在層~購入層 | コントロール可能 | 定期チェックが必要 |
| CXOレター | 準顕在層~顕在層 | 運用次第 | 執筆・郵送作業 |
| 代理店 | 代理店次第 | 0 | 連絡・連携の手間 |
社内事情なども踏まえたうえで、どの施策を実行できるかを決めていきます。
マーケティング施策を進める上でのポイント
BtoB顧客は現在、定期的に10以上のチャネルを使用してサプライヤーとやり取りしているため、1つの施策に集中しすぎるのは賢明ではありません。
中小企業が成果を出すためには、複合施策が前提となります。
- 仮説を立てて絞り込む: 市場、顧客ニーズ、社内事情、競合の状況を考慮し、有効そうな施策を絞り込みます。
- 複数施策を同時並行で実行する: 予算とリソースの許す範囲で複数の施策を試し、結果をデータ分析(GA4の経路データなど)で確認します。
- 「当たり」を見つけ、強化する: 実行する中で、「展示会のお客さんは契約に繋がりにくい」が、「CXOレター経由でアポがたくさん取れている」といった施策の当たり外れが見えてきます。この「当たり」を強化していくのが、現実的かつ効率的なやり方です。
たとえ強力な競合がいたとしても、オフラインに勝機があるかもしれない。例えば、展示会でリードを集めつつ、並行してリスティング広告や自社セミナーを実施し、データを分析しながら施策を調整していくことが、BtoBマーケティング成功の鍵となります。
BtoB企業のマーケティング施策相談はトビラマーケティングへ
ここまでBtoB企業のマーケティング施策の選び方について解説してきました。BtoB企業のマーケティング活動はさまざまな能力が必要で、自社だけでまかなうのはとても難易度が高いです。だからこそ優秀なパートナーが必要です。
トビラマーケティングはBtoB企業のマーケティング責任者代行、コンサルティングを実施しています。1つの施策にこだわることなく、お客様にとって最適な提案をさせていただきます。
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