『顧客の悩み』に深く刺さるメッセージ戦略の作り方:ペインポイントを特定する3つの方法

顧客の悩みに深く刺さるメッセージ戦略の作り方

「Webサイトをリニューアルしたのに、問い合わせが増えない」

「広告を出しても、クリックはされるが成約につながらない」

日々、現場でWebマーケティングと向き合う中で、このような「施策と成果のギャップ」に頭を抱えていませんか?多くの企業が予算と時間を投じて施策を打っていますが、思うような成果が出ないという悩みは、決して御社だけのものではありません。

なぜ、努力が報われないのか。

その原因の多くは、ツールや手法のミスではなく、もっと根本的な「誰の、どんな悩みを解決するのか」というメッセージのピントがずれていることにあります。自社の強みが曖昧なまま、価格競争に巻き込まれたり、そもそもニーズがない市場で戦っていたりするケースが後を絶ちません。

本記事では、Webマーケティングの成否を分ける「顧客の悩み(ペインポイント)」を特定し、自社の強みと直結させるための「3つの具体的な方法」を解説します。抽象論ではなく、明日からすぐに使えるアクションプランも併せてご紹介しますので、ぜひ自社の戦略見直しにお役立てください。

目次

1. メッセージ戦略のコア:「ペインポイント」の明確化

具体的な手法に入る前に、まず「何を」伝えるべきかを定義しましょう。ここで重要になるキーワードが「ペインポイント(Pain Points)」です。

1-1. ペインポイントとは何か?

単なる「悩み」と「ペインポイント」は違います。ビジネスにおいてペインポイントとは、以下のように定義されます。

ペインポイント

顧客が「お金・時間・体力などを支払ってでも解決したい」切実な問題・悩み

「あったらいいな」レベルの悩みではなく、「マイナスの状態をゼロやプラスに戻したい」という強い欲求です。

顧客は「製品」そのものが欲しいわけではありません。「抱えているペイン(痛み)を取り除くこと」にお金を払います。つまり、ここを正確に突くことができれば、売り込みをせずとも「それを解決してください」と選ばれる状態を作ることができます。

1-2. 成果に繋がるメッセージの「3段構成」

ペインポイントを特定したら、それを自社の強みと結びつけるメッセージを構築します。以下の3つの要素をセットで考えるのが鉄則です。

  1. 課題(ペインポイント): 顧客が抱えている切実な悩み(解像度が高いほど良い)
  2. 解決策(自社独自の価値): その課題をどうやって解決するのか
  3. 根拠(トラスト): なぜ解決できると言い切れるのか(実績・専門性)

これらが一本の線で繋がった時、顧客の心に深く刺さります。

【具体例:補助金申請支援サービスの場合】

要素内容
課題(Pain)「書類作成が複雑すぎて自分では無理。でも絶対に審査に落ちたくない
解決策(Value)「採択率100%の実績を持つプロが代行します」
根拠(Proof)「中小企業診断士の専門チームで、最新の審査傾向を毎週研究しているため」

このように構造化することで、初めて「刺さるメッセージ」が完成します。では、肝心の「ペインポイント」はどうやって見つければよいのでしょうか?ここから具体的な3つの特定方法を解説します。

【ペインポイント特定方法1】既存顧客の「声」から抽出する(自社顧客分析)

最も確実で、かつ手っ取り早い方法は、「すでにお金を払ってくれた人(既存顧客)」に聞くことです。社内で会議室にこもって「自社の強みは何か?」と議論するよりも、お客様に聞くほうが100倍客観的で正確です。

明日からできるアクションプラン:既存顧客へのヒアリング

次回、顧客と話す機会があれば、以下の3点をヒアリングしてみてください。

  1. 取引前の悩み: 「弊社を知る前、具体的にどんなことで困っていましたか?」
  2. 選定理由: 「数ある会社の中から、なぜ弊社を選んでくれたのですか?」
  3. 評価ポイント: 「実際に利用してみて、どこを一番気に入っていただけていますか?」

トビラマーケティングの事例

以前、我々自身の強みを再定義する際、お客様にヒアリングを行いました。私自身は「マーケティングのスキル・実績」が評価されていると思っていました。しかし、お客様の声は違いました。

「言われたことだけでなく、新しい提案をどんどんしてくれる点が助かる」

この声により、真の強みは「マーケティングスキル」ではなく、「幅広い施策を提案できるコンサルティング力」だと気づくことができたのです。

【ペインポイント特定方法2】顧客の「思考」から潜在ニーズを掘り出す(ユーザー調査)

2つ目は、顧客の思考プロセスを可視化する方法です。ここで有効なのが「カスタマージャーニーマップ」ですが、特に意識していただきたいのが「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」の使い分けです。

「顕在ニーズ」の裏にある「潜在ニーズ」を見る

顧客が検索窓に入力するキーワード(顕在ニーズ)の裏には、必ず「本当の動機(潜在ニーズ)」が隠れています。

  • 顕在ニーズ(Customer): 「ブログ 始め方」と検索する
    • 表面的な欲求: WordPressの設定方法を知りたい。
  • 潜在ニーズ(Persona): 本当は何がしたいのか?
    • 本当の欲求: ブログで集客して売上を上げたい、副業で稼ぎたい。

この「潜在ニーズ」には、大きく分けて2つのパターンがあります。

  1. Gain(ゲイン): 今より良くなりたい(例:売上アップ、優秀な人材の採用)
  2. Pain(ペイン): 今より悪くなりたくない(例:損失回避、時代遅れになりたくない)

アクションプラン

ターゲット顧客が検索しそうなキーワードをリストアップし、それぞれの横に「なぜそのキーワードで検索したのか?(=何に困っているのか、どうなりたいのか)」を書き出してみましょう。その「どうなりたいのか」こそが、メッセージで訴求すべきポイントです。

【ペインポイント特定方法3】社内ナレッジと「競合」から勝てる場所を探す(戦略的視点)

最後は、社内の資産と競合環境を掛け合わせる、より戦略的なアプローチです。

3-1. 顧客からの「相談」こそが最強のコンテンツ

お客様からよく受ける「質問」や「相談」を思い出してください。一人の顧客が質問してくるということは、その背後に同じ悩みを持つ何百人もの潜在顧客がいるということです。

例えば、Web制作会社の場合:

  • 業務: ホームページ制作
  • 顧客の相談: 「どうやったらWebから問い合わせが来るの?」
  • 真の課題: ホームページが欲しいのではなく、「集客」がしたい。

この場合、単に「綺麗なサイト作ります」と言うよりも、「Webからの集客ノウハウ教えます」というコンテンツの方が深く刺さります。日々のメールや電話での相談内容は、コンテンツの宝庫です。

近年AIが発達し、録画データや文字起こしのハードルがかなり下がっています。

  1. 録画したMTGのデータを収集する
  2. データを生成AIに読み込ませて分析させる
  3. 顧客のペインポイントを特定する

このような手順で生成AIを活用することで、顧客のペインポイント分析がかなり進みます。

3-2. 競合との「軸ずらし」で勝つ(STP分析)

ペインポイントが分かっても、競合他社(特に大手)がすでに同じ訴求をしていたら勝てません。そこで必要なのがSTP分析を用いた「軸ずらし」です。

  • Segmentation(市場を分ける): 大企業向けか、中小企業向けか。
  • Targeting(狙う): リソースの限られる自社が勝てるのはどこか。
  • Positioning(立ち位置): 競合と被らない位置取りをする。

「軸ずらし」のテクニック

真正面から戦わず、少し土俵をずらします。

  • 例:「BtoBマーケティング コンサル」 → 大手競合が多くて勝てない。
  • 軸ずらし:「BtoBマーケティング 名古屋」 → 地域を絞ることでNo.1を狙う。
  • 軸ずらし:「製造業専門 BtoBマーケティング」 → 業界を絞ることで専門性を出す。

アクションプラン

競合他社のWebサイトを見て、彼らが「誰に」「何を」訴求しているか分析してください。そして、「彼らがカバーしきれていないニッチな悩み」や「自社ならもっと深くケアできる領域」がないかを探してみましょう。

まとめ:メッセージ戦略を確立した後の「次の一手」

ここまで、ペインポイントを特定し、刺さるメッセージを作る方法をお伝えしました。

  1. 既存顧客へのヒアリングで、選ばれた本当の理由を知る。
  2. 潜在ニーズの深掘りで、表面的な言葉の裏にある欲求を見つける。
  3. 競合との差別化で、自社がNo.1になれる「軸」を見つける。

メッセージ(誰の、どんな課題を解決するか)が決まれば、Webサイトのキャッチコピー、広告文、営業資料の内容まで、すべてが一貫性を持つようになります。

トビラマーケティングではペインポイントの特定をはじめとした顧客分析、Webサイトやコンテンツ制作など、マーケティング全般のサポートをしています。無料相談を受け付けていますので、興味のある方はぜひお問い合わせください。

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この記事を書いた人

伊藤大智のアバター 伊藤大智 トビラマーケティング代表

BtoBマーケティング支援『トビラマーケティング』代表。BtoB企業に不足しているマーケティング責任者のポジションを引き受け、戦略立案から施策実行まで幅広くサポート。ベネッセ・日本HPなど大手企業との取引も多数。受賞・資格:ランサーオブザイヤー2022・上級ウェブ解析士・SEO検定1級・デジタル庁デジタル推進委員

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